2024.12.22メッセージ内容

「新時代の幕開け」 ルカ2:8-20

いと高き所で栄光が神にあるように。地の上で平和がみ心にかなう人々にあるように。(14節)

イエス・キリストの誕生によって、世界の歴史は紀元前と紀元後に分かれます。後の研究によってキリストの誕生は紀元前4~7年だったと推測されますが、いずれにせよ、それは世界に大きな影響をもたらしました。キリストの誕生により、少なくとも3つの分野において、その意義は大きく変わったことを学びましょう。

一、新しい歌

貧しい羊飼いにキリストの誕生を知らせた「天の軍勢」のことばに注意ください。彼らは霊的な存在なのですが、羊飼いでも理解できるように話したことが大切です。まず神の栄光をほめたたえ、次に人の世界に平和があるようにとの願いを表しました。自然や偉人を賛美するのではなく、それらを創造した神をほめたたえた上で、争いあっている人間世界の平和を求めたのです。

有名な作曲家であり演奏家であるJ.S.バッハは自分の音楽はすべて神を賛美するためであると言いました。そしてすべての作品に「S.D.G」とサインしていました。ラテン語で「神のみに栄光があるように」という意味です。それは、ヘンデルのメサイヤでも、ベートーベンの第九でも同じだと知ってください。クリスマスの歌は、すべて神を賛美する歌なのです。

二、新しい礼拝

人間は古来、自然界にある偉大な物や事象、あるいは人物を神として拝んでいました。日本には八百万もの神があるそうです。確かに、偉大なものは人に威厳を感じさせます。しかし、クリスマスに礼拝されるのは「飼葉桶に寝ているみどりご」でした。何の力もないように思えます。しかしこの赤ん坊こそ、神の子であるとの信仰こそが、クリスマスの礼拝の基礎にあるのです。

クリスマスとは、キリスト礼拝という意味です。旧約聖書では、神は目に見える方ではないので、偶像崇拝を徹底的に排除していました。しかしキリストの誕生以降、人間としてこの地上に誕生されたお方を真の神として礼拝するようになったのです。ユダヤ人は、今もキリストを礼拝することを拒否します。キリストを神の子として認めることができないでいるのです。

三、新しい平和

この時代、ローマ帝国は強大な軍事力で諸国を抑圧し、見せかけの平和を作り上げていました。これは、「パックス・ロマーナ」と言われています。現在で言うなら「パックス・アメリカーナ」でしょう。しかし、軍事力による平和は、いつか破綻します。この2000年間、本当の平和は実現したでしょうか。軍事力は必ず競争を生み出し、人を殺して物を破壊する結果となるのです。

キリストの語られた平和は、そのようなものではありません。「敵を愛し、迫害する者のために祈る」ことによって、過去の平和とは全く違う平和を実現なさろうとしたのです。十字架はその具体的な表れでした。自分の利益を追求するのではなく、自己犠牲の道なのです。人のした悪を思わず、その人のために祈るという生き方こそ、真の平和を実現する方法なのです。

世界は今、混迷を深めています。このような時代だからこそ、たとえ人々がどのように言おうとも、武器を捨てるように訴えねばなりません。単に核兵器だけではなく、全ての兵器です。そのような思いを持つ人が「みこころにかなう人々」です。力に対して愛をもって立ち向かう人の心には本当に平安が与えられることを知ってください。

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