2024.12.15メッセージ内容

「救い主とは」 ルカ2:1-12

今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになりました(11節)。

クリスマスの主人公は言うまでもなくキリストご自身です。家畜小屋で生まれた人物が、現在では全世界で祝われるようになりました。それは、この方が人間の根源的な問題を解決して下さる救い主だからです。罪のゆえに神と断絶した人間が再び神との繋がりを回復するために、神は一人の人物をこの世に遣わされました。

一、歴史的な人物

イエス・キリストはローマ帝国の初代皇帝アウグストの治世に誕生されました。ちょうど、徴兵と徴税のために人口調査がなされていた時でした。紀元前7年のことだと推測されています。ヨセフとマリアはともにダビデの子孫でしたので、居住地のナザレから出身地のベツレヘムへ百kmほどの旅をすることになったのです。「昔むかしある所で」と始まるおとぎ話でありません。

ローマ帝国のような強大な権力をもつ国は、現代でもあります。そして弱小国にたいして様々な圧力をかけています。そこには富の格差があり、貧しい人もたくさんいます。そのような現実の世界に、キリストはお生まれになりました。聖書の舞台は、決して今の世界とかけ離れているのではありません。世界の各地にある様々な問題をそのまま抱いているのです。

二、奇跡的な人物

しかし、このお方の誕生は普通の人の誕生とは全く違っていました。すでに学んだように、処女マリアの胎内に宿られたのです。婚約者のヨセフはそれを聞いた時、すぐには信じられなかったでしょう。でもマタイ1章に記されているように、夢に現れた御使いのことばを信じてマリアと結婚し、二人で出身地に戻ったのです。生まれる子が普通でないことは彼も分かっていました。

その後、救い主の誕生は、御使いによって、当時最も貧しかった羊飼いに知らされます。彼らも御使いの登場に驚いたでしょう。しかし御使いのことばをそのまま受け入れ、すぐにベツレヘムに向かったのです。そして、その状況をマリアとヨセフに告げました。現実の世界に生まれられたお方が奇跡的な人物であることは、福音書が共通して強調している事実です。

三、庶民的な人物

キリストが飼葉桶に寝かせられたのは、宿屋には彼らのいる場所がなかったからです。お金を出せば別の場所で出産できたでしょう。救い主なら王宮で生まれるのが当然と思う人もいるでしょう(現実に東方の博士たちはそう思いました)。しかし、どんな身分の低い人でも、この方を礼拝できるように、家畜小屋で生まれられたのです。庶民の一人として生まれられたのです。

もし王宮で生まれられたなら、羊飼いは中に入ることはできませんでした。逆に、家畜小屋に入るのを躊躇する貴人もいるでしょう。彼らがキリストを礼拝するためには、謙遜にならねばならないのです。今でも、自分は立派な人物だと自負し、自分の罪を認めない人は、家畜小屋に来ようとはしないでしょう。庶民の一人として生まれた救い主こそ、全ての人の救い主なのです。

キリスト誕生物語は、おとぎ話でも伝説でもありません。それは、2千年前、現実にこの地上に生まれ、罪人の友となり、汚れた者を聖い人へと造り変えてくださる使命をもたれた方の記録です。上から人を救いあげるのではなく、弱い者と同じ立場になり、共に歩んで、その重荷を背負ってくださるのが、救い主のたどられる道でした。

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