「神の子キリスト」 マタイ16:13-20
シモン・ペテロが答えた。「あなたは生ける神の子キリストです。(16節)
主イエス・キリストは3年余り、弟子たちと共に行動されました。その3年目に入った頃です。主は弟子たちに重要な質問をなさいました。ペテロの答えを誉められた主は、さらに深い真理を彼に語られたのです。ここには、主がどのようなお方であるかが見事に示されています。
一、生きているお方
ピリポ・カイサリアはローマの初代皇帝カイサルにちなんで命名された町で、政治的に重要な所でした。パンという偶像神の神殿があったとも言われています。そういう地方で、主は弟子たちに、「人々は何と言っているか」と尋ねられました。多くの人々が、旧約聖書に記されている有名人と同等の偉大な人物だと評価している中で、ペテロはそれとは違ったふうに答えたのです。
「生ける神の子」は、すでに死んでしまっている人間とは全く別格であることを表現しています。ペテロは主の言動を直接見聞きしていたので、どんな偉人でもできないことをなさる方だと理解できました。私たちも、聖書が語るイエス・キリストの姿を読むなら、確かに主は「生ける神の子」であることがわかります。その方は、現在も私たちと共に生きておられる方なのです。
二、教会を建てるお方
そう告白したペテロに、この真理は自分の知性で理解できるものではなく、父なる神の働きのゆえであると言われました。「イエスは神の子であり、救い主キリスト」だと告白する人々によって、地上にある教会は成り立っています。この信仰告白こそが、この2千年間に世界に広がった教会の共通基盤です。そこには三位一体の神の働きがあったことを覚えておきましょう。
この信仰告白は「岩」と表現されています。ペテロは「石」という意味ですが、それよりもはるかに大きいのが岩です。個人的な信仰は出発点ですが、教会こそがその信仰を養い、完成にまで導くことを忘れてはなりません。「よみの門」とは、人間を滅ぼそうとする力の象徴です。この世にあっては暗黒の力は大きいものです。しかし、キリストという岩の上に建てられた教会は、その悪の力に負けることは決してありません。
三、御国の鍵を与えられるお方
「天の御国の鍵」とは、天国の門を開く真理のことです。そのような重要な鍵を、主はペテロを代表とする弟子たちに委ねられました(18:18)。地上にある教会には、このような重大な使命があることを忘れてはなりません。しかし、その権力を振りかざして人々から献金を奪い取るような愚かさを繰り返してはなりません。過去の教会はそのような恐ろしい罪を犯してきました。
教会は、自分の罪を自覚している人、罪に悩む人、経済的に苦しむ人、病と戦っている人たちにこそ、「天の御国はあなたがたのものです」と宣言する使命があります。この希望が黒人奴隷に「黒人霊歌」や「ゴスペル」を与えたように、現在の私たちにも賛美と喜びを与えてくれるのです。教会がその使命を果たせるよう、今も生ける神の子キリストは共にいて下さいます。
「あなたは生ける神の子キリストです」と告白する信仰が、西宮聖愛教会を作りあげています。このお方は死んだ偉人ではありません。今も生きていて、私たち一人ひとりと共にいて下さいます。時には信仰の弱くなる時もあるでしょう。そんな時こそ、他の兄姉に祈ってもらいましょう。主の名によって集うところに主はおられます。