「クリスマスの平和」 ルカ2:8-18
地の上で、平和がみこころにかなう人々にありますように。(21節)
世界の大多数の人々は平和を願っていると思いますが、実際は過去も現在も多くの戦争で苦しんでいます。イエス・キリストが誕生されたのは、そんな争いに満ちた世界に本当の平和をもたらすためでした。御使いが羊飼いに伝えたメッセージから、本当の平和を実現するのは次のような人々であることを知ってください。
一、貧しさを喜ぶ人々によって
キリスト誕生の知らせは、まず、野宿している羊飼いにもたらされました。彼らは当時の社会では最も貧しい人々だったのです。だからこそ、飼葉桶に寝かされているみどりごが救い主であるとの知らせを受け入れることができました。身分の高い人々なら、一笑に付すかもしれません。自分の貧しさを知っている人だからこそ、「あなたがたのために」と言われると嬉しいのです。
現在の世界は、政治と経済が密接に結びついています。経済的な裕福さをもたらしてくれる指導者が選ばれるのです。だから金権政治が横行し、お金持ちが称賛されます。そして国が豊かになるためなら戦争もやむなしと考える人々が増えていくのです。豊かになること自体が悪いわけではありませんが、「心の貧しい者は幸いである」との主のことばを忘れてはなりません。
二、み心にかなう人々によって
御使いとともに現れた天の軍勢は、「栄光が神にあれ。平和がみ心にかなう人々にあれ」と賛美しました。神のみこころを知る人々でなければ、平和をつくりだすことはできません。なぜなら、私たちのために生まれるみどりごは、「不思議な助言者、力ある神、永遠の父、平和の君」だからです(イザヤ9:6)。この地に平和をもたらすためにキリストは誕生なさいました。
人間が平和に過ごすためには、まず神と人が和解しなければなりません。人が自分の罪深さを認めて悔い改め、自分の願いではなく神のみ心を求めて生きる決心をすることが必須です。そして神と人を愛して生きるならば、結果としてこの地上にも平和がやってきます。自分以外の人にも愛する家族があることを認めるだけで、平和な世界の実現は一歩前進します。
三、憎しみを乗り越える人々によって
戦争は、人を敵と味方に二分します。相手の国は自分たちに悪いことを企んでいる敵だと思わせるのです。しかしキリストは、「敵を愛し、迫害する者のために祈れ」と命じられました。そして、敵を愛することは不可能ではないことを、ご自分が十字架の道を歩むことによって示されたのです。自らが犠牲となる生き方こそ、憎しみを乗り越える唯一の方法だと知ってください。
多くの敵を殺すなら、殺した数以上の敵が新たに生まれます。砲弾が飛び交えば飛び交うほど、憎しみが再生産されます。もし日本にミサイルを撃ち込む人々を敵と考えるなら、その人を愛することは難しいでしょう。しかし憎むなら、平和は実現しません。たとえ愛することができなくても、せめて祈ることはできないでしょうか。クリスマスはそれを考えるチャンスです。
十字架で死ぬために生まれた方。それがイエス・キリストです。しかしその方の誕生が、今や、全世界で祝われるようになりました。私たちは、クリスマスが来るたびにこのことを思い出しましょう。そして、もし周囲に「敵」と思われるような人がいるとしても、その人を愛し、その人のために祈ろうではありませんか。