2023.01.08 メッセージ内容

「主の手にある歴史」 ダニエル2:36-45

大いなる神が、これから後に起こることを王に告げられたのです。(45節)

紀元前6世紀、イスラエルの民がバビロニア帝国に捕囚となっていた時のことです。主はダニエルを預言者として選び、ネブカドネツァル王が見た夢を解き明かす力を与えられました。皇帝は自分の強力な権力で何でもできると思っていたのですが、ダニエルはこの世界の歴史を支配しているのは真の神であると宣言します。

一、主は権力を人に委ねておられる

王は、自分の夢を語ろうとはしませんでした。夢自体を述べられる者でなければ、その意味を解釈できるはずはないと思っていたからです。しかしダニエルはその夢を正確に話すことができました。それは主が歴史を支配しておられることを、王に知らせるためでした。どんな強い権力を持つ王であっても、それは主から委ねられたことを謙遜に受け入れねばなりません。残念なことに、そのような謙虚な王がいた時代はほとんどありませんでした。

王が見たのは、金・銀・青銅・鉄・粘土でできている巨大な像でした。その像の足の部分が、人手によらずに切り出された石によって破壊されてしまったのです。王はこの夢が何を意味するのかを全く理解できませんでした。たとい21世紀であっても、自分が見た夢の意味を理解できる者など一人もいないと思われます。

二、どの国も栄枯盛衰の歴史をたどる

ダニエルは、神から示された預言として宣言します。後の歴史に照らして解釈すると、金の頭はバビロニア、銀の両腕はメディアとペルシア、鉄のすねはマケドニア、そして鉄と粘土はローマという5つの帝国が象徴されていると推測されます。どの帝国も初めは急激に拡大するのですが、時間とともに衰えていきました。ダニエルの時代以降500年間の歴史的事実です。

この預言は、実際におこってから後に記されたという学者もいますが、ローマ帝国の成立した紀元前1世紀には、ダニエル書はすでに出来上がっていたことは否定できません。日本の歴史を見ても、奈良-平安-鎌倉-室町-戦国-江戸時代と続く歴史はまさに栄枯盛衰の歴史でした。どんな偉大な指導者もやがて死を迎え、時代が進むにつれて消えていくのが現実です。

三、主は歴史に介入される

この巨像の足を打ち砕いた一つの石は、救い主を意味しています。それ以前に登場したどの帝国よりも強い権力をもっていたローマ帝国の興隆期に、主イエス・キリストは誕生されました。主なる神が人間の歴史に介入されたのです。それは王たちが争う時代に、真の平和をもたらすためでした。もし、この世の王がこの国を認めたなら、世界史は変わっていたでしょう。

現代も強い権力をもつ国々が歴史を支配しているように思えます。しかし、どんなに賢い権力者でも、歴史を思い通りに動かすことはできません。2000年前、人間の歴史に介入された主なる神は、もう一度、そのことをなされると聖書は宣言しています。それがいつかを誰も知ることはできませんが、その時に備えることはできます。主の譬話に登場する賢い乙女のように、信仰の油、聖霊の油を用意しておきましょう。

英語では歴史のことをHistoryと言います。これはHis Storyだと言った牧師がいます。主なる神の物語ということです。神が世界の歴史を支配され、神の愛が地上に満ち溢れるよう、期待して待ち望もうではありませんか。

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