「滅びから救いへ」 創世記7:1-16
この世代の中にあって、あなたがわたしの前に正しいことがわかったからである。(1節)
創世記5章に記されている系図で単純計算すると、アダムが創造されてから1056年後にノアは誕生しました。続いて6章は、彼の時代に「地は暴虐で満ちていた」と記します。そこで主は、人を造った事を悔やみ、大洪水をもたらそうとされたのです。しかし主は、その大きな恵みのゆえにすべてを滅ぼそうとはされませんでした。
一、ノアを用いての救い
ノアは、堕落した世界の中でもその悪に染まらず、神とともに歩んでいました(6:9)。主はノアに「あなたがわたしの前に正しい」と言われましたが、彼の妻や息子たち夫婦がどうであるかについては何の言及もありません。ノアは、ただ神の命令に従って、長さ134m、幅22m、高さ13mの巨大な箱舟を造ったのです。多くの人々は彼の行動を嘲笑したことでしょう。
いつの時代にも、神とともに歩み、神のことばに素直に従う人は多くありません。現代でも、日曜ごとに教会に行き、忠実に献金や奉仕をしている私たちを冷ややかな目で見ている人たちもいることでしょう。しかし、神とともに歩んでいる姿は、人々の心に残ることを忘れてはなりません。そのような生き方をする人をとおして、神はすばらしい救いのわざをなされるのです。
二、家族や世界に広がる救い
神がこのような巨大な箱舟が造るよう命じられたのは、ノア一人を救うためではありませんでした。彼の家族は8名です。さらに「すべてのきよい動物」とともに「きよくない動物」、また鳥や「地を這うすべてのもの」も含めると、どれほどの数になるでしょうか。箱舟は3階造りでしたから、総面積は1万平米にもなります。神が創造された動物を絶滅させないためには、それほどの大きさが必要だったのです。
ノアは箱舟を造っている時、周囲の人々に伝えたに違いありません。「そのうちに洪水がくる。君たちもこの船に乗りなさい」と。しかし、ほとんどの人々が聞く耳を持ちませんでした。動物と違い人間は自由意志をもっています。乗船を拒否する人々を無理やり乗せることは不可能です。家族はノアのことばを信じて船に乗り込みましたが、ノアは最後まで呼びかけ続けたことでしょう。
三、神の手による救い
この時、神はノアと契約を結ばれました(6:18)。聖書に出てくる最初の契約です。神のことばをそのまま受け入れるなら、神はその者を必ず守ってくださいます。ノアは人々が箱舟に乗り込むのを待っていたのですが、最後に箱舟の戸を閉じられたのは神でした(7:16)。救いは神の手で始まり、神の手で終わります。ノアは、乗り込まなかった人々のことをどれほど嘆いたことでしょう。
神は意味なく大洪水をおこされたのではありません。神のことばを聞こうとしない人々にノアを遣わし、何とか救おうとされたのです。しかし、神に従おうとしないなら、その責任を自分で負わねばなりません。今の時代も同じです。今も主は、私たちを通して世の人々に語っておられます。箱舟ではなく十字架による救いがあることを。「今は恵みの時、救いの日」なのです。
ノアの時代、悪に満ちた世界は水によって滅ぼされました。しかし、次は火だと預言されています(第二ペテロ3:6-7)。私たちは、自分たちの救いだけで満足できません。少なくとも家族に、そして周囲の人々に、私たちの生活を通して主の救いを証ししようではありませんか。