2022.12.25 メッセージ内容

「クリスマスの喜び」 ルカ2:8-20

見なさい。私は、この民全体に与えられる、大きな喜びを告げ知らせます。(10節)

赤ちゃんが生まれると、だれもが大喜びします。2千年前、イエス・キリストが誕生された時にも、大きな喜びがありました。そしてそれは2千年後の今も続いています。全世界でクリスマスが祝われるのは、この喜びを他の人々に分かち合うためです。それは、主イエスがお生まれになったその夜から始まっていました。

一、神の喜び

クリスマスは、「キリスト礼拝」という意味をもっています。旧約聖書の時代から、神は罪と争いに満ちたこの世界に本当の平和が来ることを望まれ、救い主としてご自分の子を遣わそうと思っておられました。それが現実になったのです。でも当時、地中海世界はローマ帝国によって支配され、アウグストゥスという皇帝が即位していました。彼は民衆から税金を取り立てるために住民登録をせよという勅令を出しました。

昔も今も、権力者は民衆から搾取しようと企てます。平和のためではなく軍事力増強のために。しかし、人間が争い合っている状況を何とか変えたいというのが神の思いでした。ヨセフとマリアはそのために用いられました。彼らは長い旅をして故郷のベツレヘムへ帰ります。でも、泊まる場所はありませんでした。救い主を受け入れようとしない人の姿を象徴しています。

二、羊飼いの喜び

キリスト誕生の知らせを最初に聞いたのは、ベツレヘムの近くで放牧していた羊飼いでした。彼らは貧しい人々で、野宿していたのです。しかし主の使いは誰よりも先に彼らのもとにきて、「大きな喜び」を告げ知らせます。なぜでしょうか。彼らこそ、神の子の誕生の意味を正しく理解できる人々だからです。自分の罪深さや貧しさを知っている者のために、キリストは誕生されました。

キリストが家畜小屋の飼葉桶の中に寝かされた理由はここにあります。身分の高い人は、家畜小屋に行こうとは思いません。そこで救い主が生まれることなど、信じられるはずがないのです。しかし、貧しい羊飼いにはそれができました。御使いが喜んで、「あなたがたのために」救い主がお生まれになったと伝えたのは、キリスト誕生の意味を明確に示すためでした。

三、全人類の喜び

しかし、御使いが「この民全体に与えられる大きな喜び」と言ったことも忘れてはなりません。キリストの誕生は、羊飼いたちだけのものではありませんでした。旧約聖書には、救い主の来臨を待ち望んでいた多くの人々の姿が記録されています。しかもそれはユダヤ人に限定されてはいませんでした。神は、全世界を創造し、全人類を愛しておられるからです。

羊飼いは、自分たちが見聞きしたことをヨセフとマリアに伝えただけでなく、彼らの周囲にいた人々にも伝えたことでしょう。それは、福音書記者のルカにも伝えられ、今や、全世界の人々に宣べ伝えられたのです。神の御子キリストが人としてこの地上にお生まれになったのは、罪びとである私たちが「神の子ども」とされる特権を受けるためでした。それがわかると、私たちは大きな喜びに満たされます。

「平和の君なる御子を迎え」と賛美歌にあります。キリストは、「戦争とそのうわさ」とに翻弄されているこの地上に本当の平和をもたらしてくださる方です。その方を拒否するのではなく、受け入れる者となろうではありませんか。

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