「私たちの主イエス・キリスト」 ローマ1:1-7
「御子は、肉によればダビデの子孫から生まれ、聖なる霊によれば、死者の中からの復活により、力ある神の子として公に示された方、私たちの主イエス・キリストです」。(ローマ1:3~4)
ローマ人への手紙は、キリスト教の基本教理が体系的に記されています。基本教理の理解は、自分自身の救いの確信につながります。また、異端や極端な教えに惑わされないためにも必要です。
1、キリスト・イエスのしもべ(1)
パウロは、自分のことを「キリスト・イエスのしもべ」(1)と言います。「奴隷」という意味ですが、パウロにとっての主人は主イエス・キリストです。すばらしい主人なので、その主人の奴隷であることを身に余る光栄と誇らしく告白しています。
「使徒」(1)とは、全権大使という意味で、神から使命を与えられた使者のことです。
三度「召された」(1、6、7)とありますが、パウロもローマの信徒たちも、そして、私たちも、神に召されているのです。神の永遠のご計画による選びです(IIテモテ1:9−10)。
2、私たちの主イエス・キリスト(4)
“棒線部分”(2−6)は、「神の福音」(1)の説明です。「この福音」は、①、②、③による「私たちの主イエス・キリスト」です。
①「神がご自分の預言者たちを通して、聖書にあらかじめ約束されたもの」(2)で、キリストは旧約聖書で預言されたお方です。主イエスは旧約聖書を引用し、ご自分がキリスト(メシア)であることを証明されました。
②「御子は、肉によればダビデの子孫から生まれ」(3)とは、主イエス・キリストの受肉降誕のことです。神でありながら、この世に人となって生まれ、生涯を歩まれました(ピリピ2:6-11)。
③「聖なる霊によれば、死者の中からの復活により、力ある神の子として公に示された方、私たちの主イエス・キリストです」(4)。主イエスは、私たちの罪のための十字架で贖いの死をとげました。そして、聖霊によって死人の中から栄光の体で復活されたのです。主イエス・キリストは、「神」と「人」の両性を持っておられるので、私たちの救い主になることができるのです(Iテモテ2:5)。
3、信仰の従順(6)
信仰があるからこそ、私たちが信じる神と主イエス・キリストへの従順な者となっていきます。逆に、罪とは、神への不従順です。かつては、罪と欲望に対して、従順な者でありました。罪が主人で「罪の奴隷」でした(ヨハネ8:34)。しかし、神の福音を聞き、私たちの主イエス・キリストの十字架と復活の救いに与り、神とキリストを信頼し、神とキリストに喜んで従っていきたいという心になったのです。心が変わってしまったのは、自分の努力ではなく、神の奇跡です。なんと不思議なことでしょう。「罪の奴隷」から、「キリスト・イエスのしもべ(奴隷)」と身分が変えられたのです。
ローマの信者も異邦人が多かったようです。異邦人とは、神とは関係のなかった罪人のことです。わたしたちも異邦人です。しかし、「神の福音」が伝えられ、主イエス・キリストを信じる者、従順な者となったのです。そして、パウロのように、「私たちの主イエス・キリスト」 を伝えていきましょう。